初めて買った文庫本。「うさぎパン」

book

概要

うさぎパン

✏️ 瀧羽麻子 📖幻冬社文庫

🔍9784344416215

あらすじ

幻冬社より

継母と暮らす15歳の優子は、同級生の富田君と初めての恋を経験する。パン屋巡りをしながら心を通わせる二人。そんなある日、意外な人物が優子の前に……。書き下ろし短編「はちみつ」も収録。

『うさぎパン』瀧羽麻子 | 幻冬舎
継母と暮らす15歳の優子は、同級生の富田君と初めての恋を経験する。パン屋巡りをしながら心を通わせる二人。そんなある日、意外な人物が優子の前に……。書き下ろし短編「はちみつ」も収録。

感想など

この本は私にとって特別な本です。

なぜなら初めて買った文庫本だからです。

それまで読んでいたのは、青い鳥文庫や角川文庫などの児童文庫。

サイズがひと回り小さい本がずらっと並んでいる棚からどきどきしながら選んだ日を覚えています。

みなさんは初めて買った本を覚えているでしょうか。そして文庫本と単行本、どちらがお好きでしょうか。それぞれの好きなところについても後日まとめたいものです。

そんなこんなで手にしたこの本はトースターで温めている待ち時間のようなほっこりとした物語。文庫デビューにぴったりでした。

私が好きなセリフは、主人公が「元素記号って意味意味あんの!?」と聞くと家庭教師がこう答えるシーンです。

「世の中に必要なものしかなかったら、とんでもなく殺風景なことになるわよ」

「まだ若いんだから、意義のあることだけに集中するには早すぎるよ」

効率化や機能性で削ぎ落としたり見落としたりしてしまいそうなところを長縄跳びのように掬うようだと思いました。

そして中学、高校、大学とあがって物語を忘れかけていてもこのセリフが頭に残っていました。行動より頭が働き過ぎてしまったときに思い出してふっと息を吐く。自然と肩の力が落ちてこれもいい経験だと思えるのです。

また、この本はビブリオバトルで発表したことがあるのですが、発表するには幾度か読み返す必要があります。それまで一度ずつしか読んでいなかった本を何度も読む、本を読み返す楽しみを知ることができました。面白いのが学生のときに読んだ感想と社会人になって読んだ感想の違いがあるのに読書後の満足感や心が満たされる感覚は同じなこと。

そんな訳でこれから幾つもの本を読んでも、大勢の前で自己紹介をするとき、恋人と喧嘩したときや動物パンを見たとき、クリスマスプレゼントを選ぶときなど、また思い出して本を開くのでしょう。

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