あと一歩進みたいときに。「読書間奏文」

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概要

読書間奏文

✏️藤崎紗織 📖文藝春秋

🔍9784163909424

あらすじ

文藝春秋より

人生が変わる読書体験。

直木賞候補作『ふたご』の著者が、「本」を通して自身のターニングポイントを綴る、初エッセイ。

「文學界」の大好評連載に加え、書き下ろしエッセイも収録されています。

ただの壁だった本のページをぽつぽつとめくり始めたのは、自分を守るために演じていた文学少女に本当になれたら良いと思ったからだ。
いじめられたくないから愛想笑いをするなんて下らないよと言って、一人で本を読んでいる女の子。誰かの意見に左右されず、自分の大切なものを大切に出来る強い女の子に。
演じていたはずのはりぼての文学少女が気付かせてくれたのだ。
「あなたにはこんなに素敵な本があるじゃない」と。
(本文より)

「気に入った本のページの端を折り、考えごとをする時間が好きでした。
妊娠や出産について、ピアノを続けてきた経緯やレコーディングについて、炎上した日の話や金銭感覚についてなど、本を閉じて巡らせてきた想いにお付き合い頂ければ幸いです。」
藤崎彩織

人生が変わる読書体験。『読書間奏文』藤崎彩織 | 単行本 - 文藝春秋
人生が変わる読書体験。 直木賞候補作『ふたご』の著者が「本」を通して自身のターニングポイントを綴る、文學界の大好評連載に書き下ろしを加えた初エッセイ『読書間奏文』藤崎彩織

感想など

エッセイはより作者と対談している気分になれます。ねぇ、私はこうだったんだけどあなたはどう?そう聞かれているかのように。

もしくは、きっと大丈夫だよ!と言われなくても励まされているかのように。

このエッセイは数冊の本と合わせて章立てされているのですが、私は誰かの読書感想を読んだことが多くありませんでした。こんな小さな読書記録を始めたのに面白いものです。

振り返ると、自分の中で咀嚼する時間を長く取りたいという気持ちに加えて、自分が好きだと思った作品を壊されてしまったらという少しの抵抗感があったと思います。同じ方おられますでしょうか。この本はそんな私にぴったりな本でした。より本との出会いを大切にしたくなる。今では救われたいときにそっと後押ししてくれる一冊です。

中でも私が心に残っているシーンは、一人で出来ることは充分やったと作者が思ったときに

「すごくいいと思いました。だから、必ず最後まで書くべきです」

と編集者がいうシーンです。

不安に押しつぶされそうなとき、友人や先生のの一言でふっと肩の力が抜けることがあります。真っ暗闇に一本の道がすっと伸びていくような感覚です。そして

最後の最後まで、悪夢のような執筆期間だった。それなのにどうしてなのか、今はその日々をとても恋しく思う。

と続いているのですが、無謀で非効率で怖いとさえ思うようなことも、中途半端なことも恋しく思えるほど頑張りたい。前向きな気持ちになれるのです。

努力することに怯えずに。進めわたし。

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