素直にあること。「線は、僕を描く」

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概要

線は、僕を描く

🎞️小泉徳宏 ✏️片岡翔・小泉徳宏

📖砥上裕將

あらすじ

東宝より

大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。
白と黒だけで表現された【水墨画】が霜介の前に色鮮やかに拡がる。
深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。
巨匠・篠田湖山に声をかけられ【水墨画】を学び始める霜介。
【水墨画】は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。
霜介は初めての【水墨画】に戸惑いながらもその世界に魅了されていく――
水墨画との出会いで、止まっていた時間が動き出す。
これは、喪失と再生の物語。

線は、僕を描く| TOHOシネマズ
大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。白と黒だけで表現された【水墨画】が霜介の前に色鮮やかに拡がる。深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。巨匠・篠田湖山に声をかけられ【水墨画】を学び始める霜介。【水墨...

感想など

水墨画の先生に出会う前、将来について聞かれた主人公は「何にもならないかも」と言い、それを聞いた西濱さん(先生の弟子)はこう答えます。

何かになるんじゃなくて、何かに変わってくものかもね。人ってものはさ。

誰も気づかないくらい小さな変化から周りを驚かすほど大きな変化まで徐々に変わっていく。そんな日々の連続にあることを改めて感じました。そしてこの言葉を聞いて思いだしたのが、新しいことを学ぶ私に対して友人がくれた言葉です。「真っ白なキャンパスみたい。何にでも染まれるね。」

知らない世界に一歩踏み出した日を、真っ白な紙に向かう主人公に重ねながら。

そしてこの作品の好きなところは、魚を料理する前に手を合わせるシーン、花を前に挨拶をするシーン、いってきますと言うシーンです。静かに穏やかに手を合わせる、お辞儀をする、ほんの一コマ。そして損得や見栄ではない、心から行う行為がすとんとはいってきました。ああこれが礼儀だと。

風景や自然が人間が意図せず変わっていく中で、変わらないものがあるとすれば私はこれだと思いました。

もうひとつ印象的であったセリフがあります。

「またかって思ったんです。」「またどこかの町のどこかの川でまた誰かがきっと流されたんじゃないかって。」

ニュースや流れてくる情報は多すぎることから、どこか自分とかけ離れたところの話に思えるときがあります。どこかの誰か。自分に降り注ぐニュースは急にやってきて戸惑ってしまう。主人公の葛藤と上手くいかなくても焦らずとも向き合い続ける姿が魅力的でした。

心の中にあるものを素直にあること。まっすぐに向き合うこと。自分自身にも、周りの人とも。

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