ふっと思い出したくなる時間を。「砂漠」

book

概要

砂漠

✏️伊坂幸太郎 📖新潮社

🔍 9784101250250

あらすじ

新潮社より

世界はきっと変えられる。信じることからすべてが始まる。鮮烈な感動、青春小説の新たな名作。

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

『砂漠』 伊坂幸太郎 | 新潮社
入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し

感想など

「好きな本は?」と聞かれると、私は迷わずこの本を挙げます。
それくらい、この一冊は私の高校生活、そして大学生活に、そっと色を差してくれた存在でした。

少し大げさかもしれません。
でも、それでも間違いなく、私に影響を与えた一冊です。

この本で一番好きなところは、大人になる前の、あの「モラトリアム」の時間の描き方です。
自由で、気ままで、どこか贅沢な時間の流れ。
未来がまだぼんやりとしていて、でもそれが不安よりも心地よかった頃の空気が、そこには流れていました。

「そういえば、あの頃は楽しかったな」
「今では信じられないくらい、くだらないことで笑ってたよな」
――ふと、そんな記憶がよみがえること、ありませんか?

学生時代って、本当にあっという間です。
だからこそ、見る人によっては“バカバカしく”見えるような、あのなんでもない時間が、いま思えばたまらなく愛おしい。
真面目にふざけることができたあの日々。
何をしていたか思い出せないような一日でさえ、宝物だったんだと思います。

そして、大人になってから気づいたことがあります。
私は、あの時間に、今も何度も救われているということ。

全力で挑んだ日々ももちろんそうですが、特に印象深いのは、何をするでもない“まったりとした時間”です。
あのゆるやかな幸福こそが、私をやさしく支えてくれている気がします。

誰かがキラキラと頑張っているのを見ると、つい焦ってしまったり、自分が置いていかれたような気分になったり。そんな過去の私に、この本はそっと語りかけてくれました。

「今、楽しめてる?」と。

それを思い出させてくれたこの一冊を、私はこれからもずっと大切にしていくと思います。

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