概要
夜は短し歩けよ乙女
✏️ 森見登美彦 📖KADOKAWA
🔍 9784043878024
あらすじ
KADOKAWAより
新時代のとびらを開く、恋愛ファンタジーの大傑作。
黒髪の乙女にひそかに想いを寄せる先輩は、京都のいたるところで彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受ける珍事件の数々、そして運命の大転回。山本周五郎賞受賞、本屋大賞2位、恋愛ファンタジーの大傑作!

感想など
図書館でふらりと棚の前に立った私は、次はどの本を連れて帰ろうかと目を走らせていました。
そして、ある本を手に取り、1ページ目、2ページ目とめくっていったとき、不意にその一節が目に飛び込んできたのです。
読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味わわれるがよろしかろう。願わくは彼女に声援を。
――まさかの、杏仁豆腐。
なんとも妙な例えに、私は思わず頬がゆるみました。
と同時に、「私なら人生の妙味を何に例えるだろう?」なんて考えながら、カウンターへと向かっていたのです。
そして本を読み進めるうちに、語り手の口調や言い回しが、まるで手を引かれるように私を物語の世界へと誘っていきました。
それはどこか芝居がかっていて、しかし妙に説得力があり、独特の滑稽さと知性が入り混じっている。
言葉ってこんなに自由で、こんなに面白くていいのか、と心がはずむようでした。
この本でいちばん惹かれたのは、やっぱり登場人物たちのキャラクターです。
外見だけじゃなく、性格までくっきりと浮かび上がってくる。
それぞれが勝手に動き出しそうなくらい個性的で、でもどこか人懐っこくて、
現実に飛び出してきたらぜひ友達になりたいと思えるような人たちでした。
彼らが物語を進め、私を笑わせ、ちょっとしんみりさせてくれる。
その魅力があるからこそ、私はページを咀嚼するように味わうことができたのだと思います。
そして、もうひとつ嬉しかったのは、関西出身の私にとって、知っている地名や馴染みのある言葉がたくさん出てくることでした。
地図の上じゃなく、記憶の中の京都の町を歩くような感覚。
ああ、またあの石畳を、あの路地裏を、彷徨ってみたくなる。
今の私はまだ、ほんの少し酔っている。
あの世界の余韻に、もうしばらく身を浸していたい気分です。

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